上限金利の引き下げ以上に貸金業界に影響を与えるのが、総量規制といわれる総貸付金額の限度設定です。具体的には年収の1/3を超える貸付を行ってはいけないという規制ですが、貸付金額には他社の貸付残高も含まれます。2007.11時点でこの規制はまだ実施されていません(2010年度予定)が、前倒しで2007.12には実施されるという情報もあります。
年収の1/3というと100万円の貸付を受けるのに、300万円の年収が必要です。残高も含めて100万円であることを考えると、90万円の貸付残高があると10万円しか借入ができないことになります。貸金業者からの借入が全て含まれるので、当然クレジットカードのキャッシング残高も合計されることになります。
この規制が実施された場合、現在貸付を受けている大半の人が新規の貸付を受けられなくなる可能性があります。というのも現在の貸付基準には業界で統一された明確なものがないため、すでに年収の1/3を超えた貸付を受けているケースが多いことは十分に考えられるからです。
そのためかクレジットカード会社はこぞって低金利・高額利用枠のカードローンを発行しています。低金利を強調することによって今まで取り込んでいなかった高額所得者層を新規で獲得することが目的と思われます。
カードローンをこれから申込みしたいという方は、総量規制が行われる前に申込みしておくことが得策かもしれません。低金利のカードローンは利用枠が大きいですが、少額利用でも低金利が適用されます。総量規制後では年収によってはカードローンを持つこと自体が困難になるかもしれません。
冒頭で総量規制が前倒しとなる可能性があると記述しましたが、仮に前倒しで実施されたとしても現実的には十分な多重債務防止策とはなりません。なぜならば情報を共有するために設けられる「指定個人信用情報機関」が設立されていないからです。前身となる「全情連」は存在しますが、クレジットカード会社の大半が加盟していないため、総量規制には不可欠な貸付残高が正確に把握できないのが現状です。
全体的に総量規制が目的としていることは、金銭の借入は貸金業者からではなく、金利の低い銀行などの金融機関から借入しなさいといっているようにも思えます。ところが銀行は消費者への貸付のノウハウがありませんので、担保がない限り貸付は行いません。
銀行から借りたことがあるという方は、保証会社の保証付きで借りていることがほとんどです。その場合には保証料が借りた側の負担となるため、金利プラス保証料となり場合によってはクレジットカード会社のカードローンの方が低金利のこともあります。
消費者金融と銀行の消費者向け融資は大差ありません。そもそも銀行の保証会社は消費者金融会社やクレジットカード会社であることが多いのです。総量規制では銀行ローンまでは規制できないので、多重債務防止策としては片手落ちといえるでしょう。
